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PAST EXHIBITION
宮林 妃奈子
「 このはのまど 」
2025年3月11日(火) - 3月27日(木)
会場: CADAN 有楽町
Photography:Takahiro Tsushima
この度、Gallery 38ではCADAN有楽町にて宮林妃奈子の個展「このはのまど」を開催いたします。
宮林はオイルペインティングを中心に、コラージュなど多様なメディウムを用いながら、一貫した世界観を表現しています。日常的なドローイングを通じて「描くこと」との距離を見つめ、慣性から離れ、新たな場所へと自身を動かしていく。素材を支配するのではなく、受け取るものを表現に織り交ぜる柔軟性と謙虚さが、 静かで力強いイメージへと昇華されるのです。本展では、2025年1月下旬にから東京藝術大学で開催された修了展にて発表された作品の一部を展示いたします。
また、ウィンドウスペース (Space S) では、Gallery38とLEESAYAが共にそれぞれの作家のドローイング作品を展示いたします。 Gallery 38は、宮林妃奈子が2023年ベルリン滞在中に日記のようにして描いたドローイングシリーズの中から数点をご紹介いたします。LEESAYAは、田中秀介が近年取り組んでいる、様々なモノや事に焦点を当てた「ゆわえ」シリーズを展示いたします。あわせてご高覧ください。
アーティストステイトメント:
土、アスファルト、石などの粒が集まり地面ができる。時間が過ぎ、面が収縮すると亀裂ができる。地面の上で、人が歩いたり、走ったり、葉っぱが落ちる。亀裂は境界線となり、裂けるというよりも、互いの面を押し合うようにして線がうまれる。亀裂がなければ線は現れない。絵や写真のように、四角になにかを切り取ったり、排除するのではなく、見えないことも含めて、その前や後の痕跡をとらえるように地面を探る。 手で絵を描く。カンヴァスや紙、あるいは木など、絵が描かれるものは一般的に「支持体」(塗膜を支える面を構成する物質)と呼ばれるが、私にとってそれは「受け止めてくれる手」として目の前にある。手が、動く。私と支持体のどちらか一方が動くのではなく、互いに触れ合い、確かめあうようにやりとりが始まる。コットンの地を木枠に張る。一晩膨潤させた膠を熱湯でほどき、布全体を目止めする。湿った布は重く、水分によって伸縮し、自然とピンと張る。布目の様子がよく見えるようになる。そこに、砂を置く。あるいは、触れると破けてしまいそうな薄い紙を置く。針金を埋め込むこともある。一晩乾かし、翌朝には布は軽いもなかの殻のようになり、壁に寄りかかる。乾いた紙や砂も昨日とは様子が変わっている。描くことはすでに始まっている。布は私に、油をたっぷり含んだ大きな筆を取らせ、粒の動きを見せてくれる。粗目の顔料を筆に取り、布の骨をつくる。その骨は、後に溶けてしまうこともある。最初の一手は、骨として始まりながらも、終わりには最初を忘れさせてくれる。布目に押し込まれるように、筆が動いてゆく。異なる粗さの粒や石が布の上を走り、色にならずに少しだけ留まる。木炭を布の上の砂に滑らせる。ざらりとした炭の粒子が線でも面でもない状態で置かれる。水を触れることに似ている。大きさの異なる土や砂の中からアルファベットビスケットを探し出すことにも似ている。マスキングテープで色を加えたり、長い棒の筆で線を引く。2メートルの布に4メートルの空間を見る。毛先から遠い位置で棒を持ち、自分の腕の力ではないところを探す。しかし、自分の腕であることからは逃れられず、そこにある粒子の動きに抵抗するように腕が動く。ボロ布とテレピンで粒子を拭い取る。それは消すのではなく、線を立たせることであり、描くことでもある。布目、ピグメントの粒子、染み込んだ絵具、 面になりかけた色があり、そこに距離が生まれる。長い棒の先に木炭をつけ、文字を書く。言葉として意味を持たない文字である。文字は立ったり、寝たり、踊ったりする。また、ボロ布で拭い取ったり、大きな刷毛で馴染ませることもある。身体を超えた大きさの絵と向き合うとき、この絵をどうにかしようとするのではく、絵を絵ではなくすことを考える。絵をポケット(目のなか)に収めるのではなく、肩のとがったところを触れていくようなところを目指す。筆で描くとき、描く先をみるよりも、周辺の変化する様子をみる。頭の内側の皮膚から絵の四つ角を見る。絵の真ん中を浮遊させる。完成させることは目指していない。絵の休憩場所を見つけ、足りなさをつくることで、絵から離れる。
展覧会詳細:
宮林 妃奈子
「 このはのまど 」
会期:2025年3月11日(火) – 3月27日(木)
営業時間:火-金 11時-19時 / 土, 日, 祝 -17時
定休日:月
会場:CADAN有楽町 Space M
住所:東京都千代田区丸の内3-1-1国際ビル1階
オープニング・レセプション:3月11日(火)18:00-20:00
*予告なく変更になる場合がございます。最新の情報に関しては、SNSをご確認くださいませ。