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Past Exhibitions

Akiko Horiuchi

 

クリスチャン・プーレイ

「 Distance 」

2021年9月23日 ( 木 / 祝 ) - 11月14日 ( 日 )

Christiane Pooley
Summer, 2021
27x22 cm

 

現実と夢の境界線で揺れ動く抽象的な風景の中で、顔のない人物が現れては消える。これは、物理的環境としての「場所」と、時間や地理的な境界を超えた感情的な状態としての「場所」を探求するクリスチャン・プーレイのペインティングです。 東京・Gallery38での初個展となる本展において「 Distance 」と題し、転位と不在の概念をテーマにした新作を発表いたします。

プーレイの作品は、彼女自身の場所の探求に深く根ざしており、同時に自身の出身地の複雑さについても写し出しています。彼女はチリ南部のアラウカニアで生まれ育ちました。19世紀後半に軍事的占領と植民地化によって国の領土となったアラウカニアは、それ以来、新たに構築されたチリのアイデンティティに強制的に同化させられた先住民と入植者との間で未だ対立が続いており、アイデンティティ、土地の所有権、帰属意識をめぐる複雑な議論を引き起こしています。


プーレイは自身の家族の記録写真を用いることで、鑑賞者に親近感を沸かせ、対立を煽ることなくチリの複雑な歴史を提示します。「友人や家族、家から物理的に切り離されたり、過去の記憶と現在の間にある空白など、私たちと距離との関係性に興味があります。」とプーレイは言います。今回のシリーズでは、物理的な繋がりがない中で、テクノロジーを使ってどのように人間関係を構築していくかという点に焦点を当て、パンデミックの継続的な影響についても言及しています。ペインティングの縦長の構図は、ビデオ通話、メッセージ、ソーシャルメディアなどに限らず、親密な関係を築くための一種の入り口となりつつある携帯電話の画面を連想させる一方で、絵の具の物質性と目に見える筆跡はその身体的な存在感を想起させます。また、保存された画像は描く過程で抽象化され、作家の記憶や経験と融合して人物や風景が重なり合い、互いにぼやけて、時には消去されてしまうような詩的で、不確実な空間を作り出しています。
例えば、「Summer」と題された作品では、2人の子供が緑色の筆跡に半ば飲み込まれているように見えます。作品のタイトルと柔らかな色調が場面への理解を誘導しますが、特定の文脈や時間性を排除することで、更なる感情移入を促しています。

多くの作品には魅力的な優しさや憧れが感じられますが、決してロマンチシズムやノスタルジーを表現した作品ではありません。鮮明で具体的なディテールと抽象的な要素のバランスが、心地よい緊張感と少し不穏な雰囲気を醸し出しています。例えば、「Behind the hill」は、超現実的で鮮やかな赤い三角形が地平線上に描かれた暗い空に向かい、馬に乗った人々が灰色の山の間の小道を列をなして通っています。マーク・ロスコの構図に影響されたこの作品は、さまざまな表現方法を重ね合わせ、慎重に色を使用することで、空間的かつ感情的に奥行きを追求しています。その他の作品でプーレイは、複数のキャンバスに繰り返し描かれたイメージを用いて、様々な抽象を追求し、作品の背景や絵画の可能性を観賞者に問いかけます。 「私にとって繰り返しのプロセスは、批判され歴史から抹消されそうなアイデンティティを主張する方法なのです。」

プーレイの作品には、鮮明で親密な記憶の片鱗が消えていく過程で途切れているような、緊張感がありながらも心に残る美しさが表現されています。

                 

Text by: Millie Walton
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Photography by Nicolas Brasseur / Romain Darnaud

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Photography by Takahiro Tsushima

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クリスチャン・プーレイ
CHRISTIANE POOLEY


1983  チリ・テムコに生まれる
現在はフランス・パリ在住

2006 チェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザイン(ロンドン)大学院美術学科卒業
2001-2005 チリ・ポンティフィシア・カトリカ大学美術学部(サンティアゴ・チリ)


近年の主な個展
2021 Distance, Gallery 38, 東京
2021     The Need for Roots, Kristin Hjellegjerde Gallery, ロンドン    
2019 La Primera Piedra, Galería Patricia Ready, サンティアゴ
2018 Landscapes Beneath, Bendana Pinel Art Contemporain, パリ
2016 La forêt est là et me regarde, Bendana Pinel Art Contemporain, パリ
2015 Los bordes del mundo, Galería Patricia Ready, サンティアゴ [作品集に収録] 
Promised Lands, Sandnes Kunstforening, Sandnes, ノルウェイ
2013 On Belief, solo project curated by Alexia Tala, SUMMA Fair, マドリッド
2010 Atrapados en lo desconocido, Galería Patricia Ready, サンティアゴ [作品集に収録] 
2008 I Also Ask Myself, New Galerie de France, パリ [作品集に収録] 

グループ展、アートフェア他多数

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  展覧会詳細 :    

      クリスチャン・プーレイ
「 Distance 」   



  会期: 2021年9月23日(木/祝) - 11月14日(日) 

  開廊時間: 12:00 - 19:00 
  *日曜日も開廊しております。

  休廊日: 月、火、祝日 ( 9月23日 [木 / 祝] は 開廊 )
   *予告なく変更になる場合がございます。
  ご来廊の際には、ウェブサイト・SNSをご確認くださいませ。

  会場: Gallery 38 

  東京都渋谷区神宮前2-30-28

  Telephone: 03-6721-1505
  Email:  contact@gallery-38.com


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