Akiko Horiuchi
植松 永次
月と団子と土あそび
2023年11月2日(木) - 12月17日(日)
Gallery38では、植松永次の新作展「 月と団子と土あそび 」を開催いたします。
植松は1980年頃より制作活動を始め、三重県の伊賀を拠点に一貫して土や自然との真摯な対話の中に創造の源泉を見出してきました。自身の創作活動は表現以前に土と向き合う作業であり、つくりすぎないことを大切にしている、と語り、伊賀の豊かな自然の中で季節の変化を感じながら制作を行っています。
今回の新作のテーマについて「日々の生活と自然、そして”土と火”」と語るように、その姿勢は絶えず変わらず根源的であり続けています。
植松の作品の重要性がますます高まり、また私たちの心により深く迫ってくる理由には、鑑賞者である私たちが経験している現代生活の大きな変化があるかもしれません。星空、土、火、など、植松の言葉にたびたび登場する、人間の力を超えた自然を表す言葉と比較して、私たち人間の営みである生活は近年目まぐるしく変化し、自然から遠くへ遠くへと向かっているようです。加速する営みの中で人間性が見えなくなる瞬間があることについて、植松の作品は何かを問いかけてくれるように感じます。植松は自身の今を「ぼんやりと 散歩の途中です。」と表現します。しかしこの逍遥こそが今の私たちに必要なものと思わずにはいられません。
子供の頃 月を追い掛け よく走った。今は静かに神無月。
月を見ること、足元の土を感じること、触れること。その静かな行為がもたらしてくれる力について、植松の作品は、私たちに見つめる機会を与えてくれます。
植松は長きにわたり現代美術、現代陶芸の双方において発表を行ってきました。Gallery 38は今回7回目を迎えることとなるギャラリーでの個展だけではなく、2018年のFrieze New Yorkで個展形式で作品発表を行うなど、国内外に向けての植松の作品を発信し、多くの機会を共にしてきました。展覧会での人との出会いは、その日その瞬間だけのもの。このGallery 38という空間で出会った人、生まれた形は双方にとって大きな位置を占めているといえます。植松の現在地を垣間見ることができる貴重な新作をぜひご覧ください。
Photography: Koji Honda
作家略歴
1949 兵庫県神戸市生まれ
1972 土の質を確かめることからレリーフを創る。
1975 信楽に入り製陶工場勤務の傍ら自らの制作を続ける。
1982 伊賀市丸柱に住居と仕事場を移し、薪と灯油併用の窯を築く。野焼きも含め作品の巾が広がる。
1996 滋賀県立陶芸の森に招待され制作。
1980年代〜 個展・グループ展多数。
展覧会概要
植松 永次
「 月と団子と土あそび 」
会期:2023年11月2日(木) - 12月17日(日)
開廊時間: 12:00-19:00
休廊日: 月、火、祝日
作家在廊: 11月4日(土)
オープニングレセプション: 11月4日(土) 17:00-19:00
* 予告なく変更になる場合がございます。ご来廊の際には、予めSNSをご確認くださいませ。
11月2日(木) - 5日(日)は、ART WEEK TOKYO参加のため、3日(金・祝)も含め、10:00-19:00 で開廊いたします。
会場: Gallery 38
東京都渋谷区神宮前2-30-28
tel: 03-6721-1505